• 眉間ボトックスはシワ改善だけじゃない。印象まで変わる理由

    眉間ボトックスは、男性・女性を問わず満足度の高い治療です。

    今回は、シワ改善だけではない「印象改善効果」について解説します。

    眉間ボトックスのターゲットは「皺眉筋」

    眉間ボトックスで主に治療のターゲットとなるのは、

    眉頭を中央やや下方へ引き寄せる皺眉筋(すうびきん)です。

    皺眉筋の位置、深さ。Anatomical Considerations for Botulinum Toxin Injectionsより引用

    眉間ボトックスを受ける目的として最も多いのは、

    ・怒った時
    ・考え事をしている時
    ・まぶしい時や見えにくい時

    などに眉を寄せる癖によって深くなってしまう眉間のシワを、予防・改善することです。

    しかし、眉間ボトックスのメリットはそれだけではありません。

    実は「印象改善効果」がとても高い治療

    皺眉筋は、眉間にシワを寄せる時だけ働く筋肉と思われがちですが、

    実は真顔の時にもわずかに緊張しています。

    そのため、この筋肉の力が強い方では、

    常に眉頭が内側へ引き寄せられ、眉間の距離が狭く見えることがあります。

    その結果、

    「神経質そう」
    「怒っているように見える」
    「近寄りがたい」

    といった印象を与えてしまうこともあります。

    眉間ボトックスを行うと、この余分な筋緊張が和らぎ、真顔の時の眉間の距離が自然に広がります。

    すると、お顔全体がリラックスした印象となり、優しく穏やかで、

    余裕のある雰囲気に見えることが少なくありません。

    笑顔も素敵に

    さらに、皺眉筋の力が強い方では、笑顔の時にも皺眉筋が収縮してしまうことがあります。

    本来、心から楽しい時の笑顔(デュシェンヌスマイル)では、

    頬が上がり、目は自然に細く三日月型になります。

    この時、目を細める動きに連動して皺眉筋まで強く収縮すると、

    笑っているにもかかわらず眉間にも力が入り、

    「怒りながら笑っている」ような表情になってしまいます。

    せっかくの笑顔なのに、どこか神経質で緊張した印象を与えてしまいます。

    このような方に眉間ボトックスを行うと、眉間の余分な力が抜けることで、

    笑顔がより自然でリラックスした印象になります。

    また、皺眉筋には眉を中央下方へ引き寄せることで、笑顔時の目の幅が狭くなる方向に働きます。

    そのため、眉間ボトックスにより目の幅を狭める力を抑えることで、

    笑顔の時にも目元が開いた印象を保ちやすくなり、垢抜けた雰囲気や写真写りの良さにつながります。

    自然な仕上がりには、正確な注入が大切

    皺眉筋の周囲には、前頭筋や眼輪筋などの重要な筋肉があります。

    そのため、注入する位置や深さ、ボツリヌストキシンの量が適切でないと、

    薬剤が周囲へ拡散し、まぶたが重く感じたり、表情が不自然になったりすることがあります。

    自然な仕上がりにするためには、

    必要最小限の量を、効果が得られる部位へ正確に注入することが重要です。

    そのためエコーで皺眉筋の位置や深さ、周囲の筋肉との位置関係を確認しながら注入を行うことで

    より精度の高い治療が可能になります。

    患者様ごとに筋肉の厚みや走行は異なるため、解剖を確認した上で治療を行うことで、

    安全性を高めるだけでなく、より自然で満足度の高い仕上がりにつながると考えています。

    まとめ

    眉間ボトックスは、単にシワを改善する治療ではありません。

    表情の緊張を和らげ、真顔や笑顔の印象まで自然に改善できる可能性がある治療です。

    「怒っていないのに怒って見られる」
    「笑顔なのにきつい印象になる」

    そんなお悩みがある方にも、非常におすすめできる治療です。

  • 「ヒアル顔」になる原因とは?ヒアルロン酸で不自然な顔になる理由

    SNSなどでよく耳にする「ヒアル顔」。(over filled syndrome)

    表情の動きを考慮せず表情筋より浅層に多量に注入した場合のヒアル顔のイメージ
    Overfilled Face Syndrome: A Narrative Review and Proposal for a New Classification Frameworkより引用

    カウンセリングでも、

    「ヒアルロン酸治療には興味があるけれど、

    芸能人の〇〇さんのような不自然な顔にはなりたくありません。」

    というご相談を受けることが少なくありません。

    しかし、ヒアルロン酸を注入したからといって、

    必ずしも”ヒアル顔”になるわけではありません。

    患者様のお顔立ちや加齢の変化を見極め、

    適切な製剤を、適切な層へ、適切な量だけ注入すれば、

    不自然になることなく自然な若返りは十分可能です。

    「ヒアル顔」になる3つの原因

    ヒアル顔の原因として考えられるのは、主に次の3つです。

    ① 表情筋より浅い層(皮下浅層)への不適切な注入

    ② 一部分への多量注入

    ③ 皮膚の薄い部位への過剰注入

    ① 表情筋の動きを考えずに注入している

    テレビを見ていて「不自然だな」とよく感じるのは、

    笑った時に頬だけが不自然に膨らんで見えるというようなケースではないでしょうか。

    私たちは真顔でいる時間よりも、

    会話や笑顔など何らかの表情を作っている時間の方が長いです。

    そのため、表情筋の上(皮下浅層)にヒアルロン酸を多く注入すると、

    筋肉が動くたびにヒアルロン酸が押し上げられ、頬がモコッと膨らんで見えます。

    また、浅い層へ注入する場合には、表情の動きに追従しやすい柔らかい製剤を選択し、

    必要最小限の量にとどめることが重要です。

    製剤が硬すぎたり、量が多すぎたりすると、

    笑顔を作るたびにヒアルロン酸の存在感が出てしまい、不自然な印象につながります。

    ② 一部位への多量注入

    ヒアルロン酸は水分を保持する性質があります。

    そのため、1か所へ大量に注入すると、製剤自体のボリュームに加えて

    ヒアルの吸水性による膨らみも加わり、顔がパンパンに見えてしまうことがあります。

    若々しい印象を作るために大切なのは、「たくさん入れること」ではなく、

    「必要な部位へ必要最小限の量を入れること」です。

    ③ 皮膚の薄い部位への過剰注入

    特に目の下は顔の中でも皮膚が非常に薄いため、治療には注意が必要です。

    筋肉より深い層へ適切に注入した場合でも、製剤の種類や注入量によっては、

    凹凸が目立ったり、むくんだように見えたりすることがあります。

    そのため私は、エコーで解剖を確認しながら狙った層へ正確に注入し、

    必要最小限の量で治療することを心掛けています。

    皮膚が薄い部位ほど、「どこに入れるか」と同じくらい、

    「どれくらい入れるか」が重要になります。

    ヒアル顔になりやすい人の特徴

    もともと皮膚が薄い方は、少量のヒアルロン酸でも輪郭や膨らみが目立ちやすく、

    不自然な印象になりやすい傾向があります。

    一方で、ニキビ跡がある方や脂性肌で毛穴が大きく、皮膚が厚く硬い方では、

    皮膚や皮下組織の硬さによってリフトアップ効果が得られにくいことがあります。

    その結果、「まだ足りない」と判断して追加注入を繰り返し、

    必要以上のヒアルロン酸が入ってしまうケースも少なくありません。

    皮フが薄い方、厚い方は肌育製剤で肌のクオリティを高めたり

    高周波で肌に熱刺激を与えて引き締めることが重要です。

    栄養療法で肌の構成成分を補うことも大切ですね。

    肌のクオリティを高めてヒアル顔になりにくいような肌作りをすることがおすすめです。

    まとめ

    ヒアル顔の原因は、ヒアルロン酸という製剤そのものではありません。

    どの層へ、どの製剤を、どれくらいの量で注入するか。

    そして、表情筋の動きや顔全体のバランスまで考えてデザインすることが、

    自然な仕上がりにつながります。

    私がヒアルロン酸治療で大切にしているのは、「シワを埋めること」ではなく、

    「なぜそのシワやくぼみが生じたのか」を解剖学的に考えることです。

    その原因に的確にアプローチすることで、必要以上のヒアルロン酸を使わず、

    自然で美しい若返りを目指しています。

  • ボトックスで怖い顔になるスポックブローとは?原因と予防方法について

    「眉間のシワが気になってボトックスを打ったら、

    眉尻が吊り上がって怖い表情になってしまった、、、」

    それ、**スポックブロー(Spock brow)**と呼ばれる状態かもしれません。

    スポックブローとは、眉尻が不自然に吊り上がった状態のことで、

    アメリカのドラマ『スタートレック』に登場する

    ミスター・スポックの眉に似ていることからこの名前が付けられました。

    スポックブローとはボトックス治療後に眉尻が吊り上がって怖い印象になってしまう現象。
    Botulinum Toxin: Surely, We Can Do Better? Optimizing Results Beyond On-Label Techniques and Teachingより引用
    スポックブローはなぜ起こる?

    眉間ボトックスでは、

    眉を内側に寄せる「皺眉筋(すうびきん)」にボトックスを注入します。

    しかし、皺眉筋よりも上方に注入すると、

    一部の薬剤が前頭筋(おでこを持ち上げる筋肉)に作用することがあります。

    すると、おでこの中央部分の収縮が抑えられ、眉頭付近が上がりにくくなります。

    一方で、外側の前頭筋にはボトックスが効いていないため、

    眉尻側だけが上方へ引き上げられ、眉が吊り上がります。

    また、皺眉筋の一部は前頭筋と線維が交わっているため、

    適切に皺眉筋内へ注入した場合でも、

    解剖学的な個人差によって前頭筋に影響が及び、スポックブローが生じることがあります。

    皺眉筋(Corrugator supercilii m.)と前頭筋(Frontalis m.)の線維が一部交差している。
    Botulinum Toxin: Surely, We Can Do Better? Optimizing Results Beyond On-Label Techniques and Teachingより引用
    スポックブローになりやすい人の特徴

    以下のような方はスポックブローが起こりやすい傾向があります。

    • おでこを上げた時に、こめかみ近くまでシワが寄る(前頭筋が外側まで広く分布している)
    • 眼瞼下垂や上まぶたのたるみがあり、おでこの筋肉を使って目を開けている

    そのため、眉間ボトックスを行う際には、

    • おでこを上げてもらい、前頭筋の分布を確認する
    • 上眼瞼のたるみや眼瞼下垂の有無を評価する

    といった事前診察が重要になります。

    スポックブローになってしまったら?

    スポックブローが生じた場合は、

    眉尻を引き上げている前頭筋の収縮部位に

    少量のボトックスを追加することで改善することが多いです。

    ただし、患者さんに「ボトックスを打ったら怖い顔になった」という印象を与えてしまうため、

    最も大切なのはそもそもスポックブローを起こさない工夫をすることです。

    スポックブローを予防するためのポイント
    ① 皺眉筋の筋腹を正確に狙う

    最も収縮の強い部位を狙って注入することが重要です。

    エコーを用いて筋肉の位置を確認すると、より正確な注入が可能になります。

    ② 過度に希釈したボトックスを避ける

    必要以上に薄めると薬液が広がりやすくなり、前頭筋へ拡散するリスクが高まります。

    ③ 左手で皺眉筋をつまみながら注入する

    筋肉を把持することで、薬剤の不要な拡散を抑えることができます。

    ④ 針の向きや深さを意識する

    薬液は針先の向いている方向へ広がりやすいため、

    刺入部位、角度、深さを適切に調整することが重要です。

    ⑤ 必要最小限の単位数で注入する

    過剰投与は周囲筋への影響を強めるため、

    患者さんごとに適切な量を見極めることが大切です。

    まとめ

    「たかが眉間ボトックス、されど眉間ボトックス」。

    眉間だけを見て注入するのではなく、

    前頭筋の分布やまぶたの状態など、

    上顔面全体のバランスを評価した上で治療を行うことが、自然で美しい仕上がりにつながります。

  • 口角ボトックスで笑顔はどう変わるのか?

    「口角ボトックスで不自然になる?」

    「口角ボトックスで本当に口角は上がるの?」よく患者様から頂く質問です。

    口角ボトックスはその名の通り

    「口角を上げる治療」として知られていますが、

    実際には単に口角を上げる治療ではなく

    「笑顔のバランスを整える治療」だと考えております。

    では実際口角ボトックスによって笑顔がどのように変化するのでしょうか?

    解剖学的な視点から説明したいと思います。

    口角ボトックスとは?

    口角ボトックスは、

    口角を下に引く筋肉である口角下制筋(Depressor Anguli Oris:DAO)に

    ボトックスを注入する治療です。

    口角には、口角を上に引き上げる筋肉(挙上筋)と、

    下に引き下げる筋肉(下制筋)が存在し

    笑顔はこれらの筋肉のバランスによって作られています。

    口角ボトックスではDAOの働きを弱めることで、

    相対的に挙上筋が働きやすくなり、口角が上がりやすくなります。

    そのため口角ボトックスは「口角を無理に上げる治療」ではなく、

    「口角を下げる力を弱める治療」だと言えると思います。

    口角ボトックス、効果が出やすい人は?

    実は口角ボトックスは誰にでも同じように効果を感じるわけではありません。

    DAOの働きがもともと強い方では効果が出やすい一方で、

    笑顔時にDAOをあまり使わない方では変化が限定的になります。

    つまり、口角を下げる力が強い人ほど、口角ボトックスの効果を感じやすいと言えます。

    より効果的に口角を上げるには?

    実は口角を下げる筋肉はDAOだけではありません。

    特に重要なのが広頚筋(Platysma)です。

    広頚筋はフェイスラインから首、鎖骨にかけて広がるシート状の筋肉で、

    面積も大きく、口角を引き下げる力にも大きく関与しています。

    また、オトガイ筋も口元の表情バランスに影響を与える筋肉の一つです。

    そのため、DAOだけを治療しても十分な改善が得られない場合は

    広頚筋やオトガイ筋など、他の下制筋の強さも確認するといいと思います。

    口角を下げる力が強い人ってどんな人?

    ではどのような方が口角ボトックスの良い適応なのでしょうか?

    私が診察でチェックするのは笑顔の時のお口周りの動きです。

    笑顔の際に

    • 口角が横方向に伸びて口角が上がりにくい
    • 口角を上げようとするとピクピク緊張が見られる
    • 下の歯が見えやすい

    などです。

    このような特徴がある方は下制筋が強い可能性があるので

    ボトックスでDAOなどの下制筋の働きをコントロールすると

    笑顔の印象が良くなる可能性が大きいです。

    The Underappreciated Role of the Platysma Muscle in the Perioral Expressions in Young Adultsより引用。
    笑顔時に口角が横に伸びたり、下の歯が見えるようなタイプの方はDAO、Platysmaなどの下制筋が強いのでボトックスで効果が出やすい。

    口角ボトックスでエコーを使うメリット

    口周りの筋肉がどのように広がっているかは患者様によって様々です。

    エコーを用いることで、治療のターゲットとなるDAOの位置だけでなく

    周りの効かせたくない筋肉も含めて位置を確認出来るので

    失敗のリスクを減らしつつ、より効率的に治療することができます。

    まとめ

    口角ボトックスは口角が下がりがちな方におすすめの治療です。

    特に笑顔時に口角の上がりにくさを感じている場合は

    DAOだけでなく、広頚筋も含めて複数の下制筋にアプローチすると

    より効果を感じやすくなると思います。

    さらにエコー併用することで、より精度の高い治療も可能ですので

    お気軽にご相談くださいね。

  • 人中短縮ボトックスは本当に効く?

    「年齢とともに人中が長くなってきた気がする」

    「人中短縮ボトックスに興味があるけれど、本当に効果があるの?」

    このようなご相談をいただくことがあります。

    結論から言うと、人中短縮ボトックスは適応のある方には有効な治療です。

    しかし、人中が長く見える原因は一つではないため、

    ボトックスだけでは十分な改善が得られないケースもあります。

    人中短縮ボトックスとは?

    人中短縮ボトックスは、上口唇の赤唇部(口紅を塗る赤い部分)の上に

    ボツリヌストキシンを注入する治療です。

    口輪筋の一部である pars marginalis の働きを弱めることで、

    赤唇が内側へ巻き込まれるのを防ぐことで

    赤唇のボリューム感が増し、人中を短く見せます。

    ただし、人中が長く見える原因は筋肉だけではありません。
    Lip Flip Revisited: Clinical Outcomes and Neuromodulatory Basis of Upper Lip Eversion より引用
    ① 唇のボリュームロス

    年齢とともに唇の厚みが減少すると、赤唇が薄く見えるようになります。

    口紅が塗りにくくなったり、唇の輪郭がぼやけたりするのもそのサインです。

    人中の周り(白唇部)も加齢によりボリュームを失います。

    すると人中の立体感が失われ、平坦な印象となり、

    人中が実際以上に長く見えることがあります。

    このようなケースでは、ヒアルロン酸によるボリューム補正が有効です。

    赤唇部だけでなく、人中周囲の支持組織を補うことで、

    唇周囲に自然なメリハリを与えることができます。

    ③ 皮膚の菲薄化とハリの低下

    加齢に伴い皮膚が薄くなり、ハリや弾力が失われることでも人中は長く見えます。

    このような場合には、

    • ペプチド配合スキンケア
    • 肌育治療(スネコス、プルリアル、スキンバイブ、CGスタイラー)
    • レーザーやRFなどの熱デバイス治療

    などが選択肢となります。

    特にボリュームロスが気になるエイジング世代には

    架橋ヒアルロン酸配合のスキンバイブやCGスタイラーでふっくらさせるのがおすすめ。

    人中短縮ボトックスが向いている人

    • 笑ったときに上唇が内側へ巻き込まれる

    人中短縮ボトックスだけでは改善しにくい人

    • 口周囲のボリュームロスが強い
    • 人中部の平坦化が目立つ
    • 皮膚のたるみや萎縮が強い
    • 骨格的に人中が長い

    このような場合は、ヒアルロン酸や肌育治療などを組み合わせた方が

    満足度の高い結果につながることが多いです。

    まとめ

    人中短縮ボトックスは、

    上唇が内側へ巻き込まれることで人中が長く見えている方には有効な治療です。

    一方で、加齢による人中の変化には、

    ボリュームロスや皮膚の菲薄化など複数の要因が関与しています。

    そのため唇のボリューム、口周囲の支持組織、皮膚の状態まで含めて評価し、

    必要に応じてヒアルロン酸や肌育治療を組み合わせるのがおすすめ。

    自然で健康的な若返りを目指すためには、

    「人中を短くすること」ではなく、

    「なぜ人中が長く見えているのか」を考えて原因にあった治療を行うのが大切です。