エラボトックスで頬がコケる理由を、解剖学から考える。

「エラボトックスをすると頬がコケると聞いたのですが、本当ですか?」

エイジング世代の患者様から、このようなご質問をいただくことがよくあります。

エラボトックスは小顔治療として人気のある施術ですが、

すべての方が小顔になるわけではなく、

場合によっては頬がこけて老けた印象になることがあります。

まず理解していただきたいのは、

エラボトックスで小顔効果が得られるのは、咬筋が発達している方です。

Rethinking Paradoxical Bulging of the Masseter Muscle Following Botulinum Toxin Injection: An Ultrasound Evaluationより引用

つまり、エラの張りの原因が咬筋肥大であれば効果が期待できますが、

  • 下顎角(エラの骨)が張っている
  • 下顎(あごオトガイ部)が小さく、顔の縦幅が短いため相対的に横幅が広く見える
  • ジョールファット(Jowl fat compartment)など皮下脂肪のボリュームが多い

といったケースでは、咬筋ボトックスだけでは十分な改善は期待できません。

このような場合には、ヒアルロン酸による骨格形成や、

RF治療、脂肪溶解注射などを組み合わせた方が、

より自然なフェイスラインになることがあります。

なぜエラボトックスで頬がこけるのか?

では、なぜ頬がこけてしまうのでしょうか。

解剖学的に見てみましょう。

咬筋は咀嚼筋(噛む筋肉)の一つで、

superficial, intermediate, deep headsの3層構造をしており、

エラだけではなく、頬の後方まで広く存在している筋肉です。

ボトックスによって咬筋が萎縮すると、

エラの張りが改善する一方で、頬後方のボリュームも減少します。

さらに、加齢によって頬外側の脂肪や骨格の支持が低下している方では、

この変化が頬のくぼみとして目立ちやすくなり、

「頬がこけた」「老けた」という印象につながることがあります。

頬がこけやすい人の特徴

では、どのような方が頬コケを起こしやすいのでしょうか。

① もともと頬骨下が痩せている方

治療前の時点で頬骨の下にくぼみがある方は、

咬筋が萎縮するとその影がさらに強調されるため、頬コケが目立ちやすくなります。

そのため、治療前の診察で頬のボリュームをしっかり評価することが重要です。

② 必要以上の量を注入した場合

ボトックスは多く打てば良いという治療ではありません。

必要以上の単位数を注入すると、咬筋が過度に萎縮し、頬コケのリスクが高くなります。

一般的には片側20単位前後から開始することも多いですが、

適切な投与量は筋肉の厚みや発達の程度によって異なります。

そのため、まずは効果が得られる最小限の量から治療を始め、

必要に応じて調整することをおすすめしています。

③ 上方まで広範囲に注入した場合

咬筋が頬近くまで発達しているからといって、

必要以上に上方まで注入すると、頬のボリュームまで減少してしまう可能性があります。

また、咬筋前縁や上方は表情筋とも近接しているため、

過度に高い位置へ注入すると笑顔に影響を及ぼす可能性もあります。

そのため咬筋の最も発達している部位を見極めた上で、必要最小限の範囲に注入することが大切です。

ナチュラルで美しい輪郭を目指して

エラボトックスで大切なのは、「たくさん打つこと」ではなく、

「お顔全体のバランスを見ながら、必要な場所へ必要最小限の量を注入すること」です。

そのためには、咬筋の厚みや位置、周囲の解剖を正確に把握することが重要です。

その際、エコーで筋肉の厚みや位置を確認することで

咬筋肥大を改善しつつ、頬コケのリスクを減らすことが可能です。

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